日本株
欧米は、ウクライナ戦争に加え、インフレ高進とそれに伴う急激な利上げの影響で銀行倒産やリセッション懸念など問題が山積。一方で日本は、インフレが比較的低く異次元緩和が継続することに加え、コロナ禍からの経済正常化途上で回復する消費と設備投資がけん引し、1-3月期GDP成長率は年率1.6%と3四半期ぶりのプラス成長、日経平均株価も1年8ケ月ぶりに3万円を上回った。ファンダメンタルズに対し株価は高すぎるとして、上昇相場に懐疑的な見方を持つアナリストも多いが、ここであらためて物価と賃金および金利と銀行に焦点を当てて日本株の分析をしてみる。
物価と賃金…株価も併せて卵と鶏の関係だが、過去を見ると日本で物価と賃金が上昇しなかったことが、ゾンビ企業増殖と社会保険料増加による可処分所得の減少を通し経済の低成長を招いたとの見方もある。図1をみると消費税増税時を除けばCPIと現金給与の変動に合わせるように株価も動いており、足元で上昇する物価と15ヶ月連続プラスの現金給与により今までとは異なる株価上昇が今後期待できる。
金利と銀行…リーマン機器やSVBショックからも分かるように、銀行危機は成長マネー供給が細ることで経済に打撃を与える。あらためて日本を見るとマイナス金利やYCC政策などの影響で長期にわたり銀行の収益は低迷した。図2は東証銀行株指数と5年国債金利の動きだが、金利低下に歩調を合わせた収益低下を反映し銀行株も低下。しかし、今期の3メガ銀行の純利益予想は10年ぶりに最高益を更新する見込みで、このような困難な状況下で収益力を磨いた結果は賞賛に値する。加えて今後は電力料金の値上げや賃金上昇などでCPIのさらなる上昇が予想され、日本もついに金融政策変更の可能性が出てきた。金利上昇となれば銀行収益はさらに改善、久方ぶりに本格的な銀行による成長マネーが供給されることで、日本経済のさらなる成長も期待できる。
以上より今後は金利上昇とさらなる日本株の上昇が期待でき、チャート的には2021年のダブルトップの31,000円、それを超えると年初に下落した分の倍返しとなる36,000円が期待できる。
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