日米欧経済
・米国
バイデン大統領と共和党のマッカーシー下院議長が合意した債務上限法の適用を2年間停止する法案は上下両院で可決し成立、デフォルトは直前で回避された。5月のISM製造業景気指数は好不調の分かれ目50を7カ月連続で下回り、生産関連は減速傾向にある。雇用統計は失業率が大幅に上昇した一方で非農業部門雇用者数は予想を上回り、インフレ鎮静化には時間が必要に見える。FRB高官からは6月の利上げ見送りを示唆する発言が相次ぎ、市場は今月のFOMCでの利上げ見送りを織込む。
・欧州
5月のユーロ圏製造業PMI(改定値)は昨年6月以来の50割れを継続。欧州最大の貿易相手国である中国5月の購買担当者指数が製造業、サービス業ともに下振れるなど、欧州経済には減速懸念が燻る。ユーロ圏5月の消費者物価指数は2ヶ月ぶりに低下、エネルギー価格下落もありインフレは減速基調にある。ECBの5月理事会の議事要旨によれば、0.25%への利上げ幅縮小を決定したが、0.5%を主張したメンバーも多くいたようで、今後の利上げ継続が見込まれる。ウクライナ情勢では、ロシア国内におけるウクライナ側からの攻撃に関する報道が増えるなど、戦闘の新たな局面入りが懸念される。
・日本
4月の失業率は3ヶ月ぶりに改善、有効求人倍率も高止まり、経済正常化に伴うサービス業を中心とした人手不足は続いており、賃金上昇に伴うインフレ圧力は強まる。一方で鉱工業生産は3ヶ月ぶり、小売売上高は5ヶ月ぶりに前月比マイナスとなったが、上昇継続に伴う反動減であり基調は強いとの見方が多い。ドル円は半年ぶりに140円台乗せとなったが、財務省、金融庁、日銀の3者会合では「過度な変動には適切に対応する」と昨年10月以来の為替介入を示唆、円安をけん制した。植田日銀総裁はインフレ動向に関する見解の修正に言及、今後の指標次第では政策変更前倒しの可能性が高まる。
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