日米欧経済
・米国
6月のISM景況指数は製造業が3年ぶり低水準となった一方、非製造業は4ヶ月ぶり水準に回復するなど明暗が分かれた。6月の雇用統計では非農業部門雇用者数が下振れた一方で失業率は低下、平均時給も高水準を維持した。引続き人手不足の状況は変わらず、物価上昇をFRBの目標値2%以下に抑え込むには一段の景気減速が必要だろう。6月のFOMC議事要旨では一部メンバーが利上げ継続を主張したことが判明、7月と9月の連続利上げの可能性が高まる。イエレン財務長官は訪中し李首相と会談、ロシアの弱体化が見込まれる中、フレンドショアリング戦略に基づく経済面での中国への圧力を強める。
・欧州
ユーロ圏5月の小売売上高は4月に続き前月比0%、インフレ加速に伴う実質所得の減少で消費は低迷する。主要貿易相手国である中国の6月購買担当者指数が下振れるなど、欧州景気の減速局面入りが警戒される。ユーロ圏5月の生産者物価指数は前年比で2年5ヶ月ぶりのマイナスとなり、利上げによる景気抑制効果が伺えるが、ECBはインフレの高止まりを警戒し利上げ継続を見込む。ロシアはウクライナによる原発攻撃の可能性が高いと発表、最悪シナリオの放射能汚染拡大リスクが高まる。一方で今週開催のNATO首脳会議ではウクライナの加盟に向けた問題が議論され、停戦後の支援体制も視野に入る。
・日本
4-6月期の日銀短観では、製造業は供給制約の緩和や原材料高の一服などを受けて改善。非製造業も新型コロナ後のサービス需要の持直しやインバウンドの回復を受け、5四半期連続で改善した。23年度の設備投資計画は前年比11.8%増に上方修正されるなど全般的に力強い内容だった。5月の所定内給与は前年比で28年ぶりの高水準、春闘で賃上げが30年ぶりの高水準で妥結した効果が確認できた。内田日銀副総裁は当面は現在の金融緩和を続けると発言、市場に広まる早期政策変更の思惑に水を差した。
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