日米欧経済
・米国
7-9月期のGDP改定値は年率5.2%へ上方修正され2年ぶり高水準となった。一方で10月の個人消費支出は伸びが鈍化、11月の消費者信頼感指数は4か月ぶりに上昇したものの低水準、ISM製造業景気指数も13か月連続の50割れとなり、足元で経済は減速しつつある。またPCEコアデフレータは鈍化基調を維持しており、米国経済のソフトランディングの可能性は高まる。パウエル議長は会見で「追加の引き締めが適切になる場合は、対応する用意がある」とした一方で「かなり景気抑制的な領域に入ってきている」と発言、市場はハト派的なスタンスとの見方が強まった。
・欧州
ユーロ圏11月の経済信頼感指数は2か月連続の改善、独12月のGfk消費者信頼感指数も前月から上昇した一方、ユーロ圏11月の消費者物価指数(CPI)は前年比で7カ月連続鈍化、ECBの目標値である2%が視野に入る。物価高と景気後退の同時進行によるスタグフレーションリスクが燻っていた欧州経済だが、最悪期を脱しつつある。市場は米国同様に来年前半の利下げ開始を織込むが、CPI低下はエネルギー価格下落に拠るところが大きく、コアCPIは前年比3.6%とまだ高く、ECBの早期政策転換は考えづらい。中東紛争の戦闘停止合意は1週間で失効、紛争継続に伴い中東と西側諸国の対立拡大が懸念される。
・日本
10月の鉱工業生産は前月比1%と2か月連続でプラス、生産関連は回復基調だ。一方で小売売上高は同▲1.6%と4か月ぶりの減少、経済活動正常化の恩恵が物価高により相殺されつつある。10月の失業率は2.5%に低下、労働需給はひっ迫度が増しており企業向けサービス価格指数はコロナ禍前2020年1月以来の高い伸びとなり、賃金上昇に伴うインフレ圧力は続く。日銀の安達審議委員は会見で「緩和出口の見極めは新年度明け以降」と発言、早期利上げ観測をけん制した。
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