米国でハイテクバブル再び

昨年後半の米株は堅調な展開となり、NYダウは史上最高値を更新、S&P500も史上最高値目前となった。この株高の原動力としては、インフレ鎮静化に伴う早期利下げ期待に加え、ChatGPTなどAI革命への期待がある。今やAIは企業活動から政治、軍事に至る広範囲においてその有効性が期待されており、まさに1990年代後半のインターネット革命をほうふつとさせる。当時はインターネットとPCにより情報・社会環境が激変するとして、マイクロソフトやインテルなどの株価が急騰、ハイテク株中心のNASDAQはPERが一時60倍超に達するなど買われ過ぎとされる水準まで上昇した。その後は調整局面入りとなり、NASDAQは高値の1/3まで下落、証券市場に大きな爪痕を残した。

図1はNASDAQとS&P500およびNASDAQ÷S&P500(N/S比)を2019年から足元2023年まで、図2はハイテクバブル期となる1998年から2002年までの5年間を示したもの(図1:2019年1月、図2:1998年1月を100)。図2を見ると1999年初から2000年の高値に向け、NASDAQはS&P500を置き去りにして3倍超まで上昇、N/S比も1.5倍から3.5倍まで駆け上がった後、5年後にはともに元に戻った。一方、図1の現状を見るとNASDAQがS&P500をアウトパフォームしているものの、PERは37倍とハイテクバブル期に比べ低く、N/S比もNASDAQの上昇により数値自体は高いが2019年以降の平均値3倍近辺に止まり過熱感はない。

AI革命はまだ始まったばかりであり、これから関連企業業績の更なる向上が期待できる。現在を仮にハイテクバブルが加速し始めた1999年10月時点とすると、この先、AIバブルの実現によりNASDQが1.5倍(≒300/200)、或るいはN/S比が5倍(≒3倍×2.5/1.5)程度まで上昇するかもしれない(但し、その後2000年以降と同様にバブル崩壊となれば元に戻る展開もあり得る)。

一方、最近はウクライナ紛争や中東問題など地政学的リスクが顕在化しており、政治問題の株価への影響も懸念される。このような中、今年は選挙イヤーと言われ、主要な国・地域では台湾、ロシア、インド、米国と続く。1月に台湾総統選があり与党民進党候補が勝利すれば、11月の米大統領選までは大きな政局リスクは無いように見える。

ここで米株への投資戦略を考えてみる。上記のAIバブル発生と政局安定シナリオを前提とすると、まずは台湾総統選の結果を待ってNASDAQへ投資、その後の米大統領選を乗越えAIバブルが盛り上がり上記レベルに近付いた段階で、S&P500に乗り換えるという展開(初夢戦略)となろう(*)。

*投資判断は、自己責任でお願いいたします。

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