堅調な日本株
年初の日本株は堅調なスタートとなり、初日からの6連騰で日経平均は2,500円上昇した。買い手としては、海外投資家と新NISAが指摘されるが、それぞれの購入動機は以下のようにまとめられる。
□海外投資家…海外勢から見ると、東証による「低PBR企業に対する資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」要請に呼応した企業改革への期待がある。今までの日本企業にこのような姿勢は見られなかったうえ、日本経済の長期デフレからの脱却を通じ、個々の企業にも失われた30年と逆の動きが期待できる。具体的には、政府による弱者救済型公共投資に代わりマイナス金利下の逆境から脱出する銀行による健全な成長マネーの供給再開、或いは資産価格上昇の収益化を前向きに評価するビジネスモデルのゲームチェンジなど。ここで表1は15日に東証が発表したプライム市場のPBR改善策の開示状況。開示社数の割合はPBR1倍以下が高く、経営改革を通じた株価上昇が期待される。仮にこれらPBR1倍以下の開示社の株価が上昇しPBR1倍達成となれば、プライム市場全体の株価は約20%の上昇が見込まれる(単純平均で試算)。
□ NISA…従来のNISAに比べ投資枠を拡大し適用期間を恒久化することで、長期投資に適した新NISAが年初からスタートした。個人金融資産の2,200兆円のうち半分を占める現預金等からのシフトが期待される。マイナス金利効果により日銀券発行残高の5割近くまで膨らんだタンス預金に代表される現金、この金利を生まない金融資産がデフレ終焉と折からの新紙幣発行により動き始める。新NISAはまだスタート直後だが、年間を通して日本株に約3兆円、外国株等に約2兆円が流入するとの試算もある。昨年の海外投資家による日本株の買越し額は約3兆円であり、インパクトの大きさが分かる。
■株価見通し
(チャート分析) 過去1年の日経平均の推移(図1)を見ると、昨年6月以降何度も跳ね返された34,000円の高値抵抗線を起点として、直近安値の30,500円との値幅を倍返しした36,500円が当面の上値目途となる。その後は一旦34,000円程度までスピード調整した後、再度の上昇相場入りも期待される。また過去50年の推移(図2)を見ると、長期的にはいずれ最高値となる39,000円近辺までの上昇も見込まれる。但し、足元の米AIバブル持続性への警戒感に加え、11月には米大統領選もあることから、夏場までの最高値更新を期待したい。
(銘柄分析)上述の通り、海外投資家の買いが期待できるのは低PBR株、新NISAでは長期投資において減税効果を発揮する高配当株ということになり、昨年に続き低PBR・高配当株の好パフォーマンスが見込まれる。
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