日米欧金融政策会合

先週のFOMCがトリを取る形で日米欧の中銀による金融政策ウィークは終了した。ここで各中銀の金融政策会合の内容をおさらいするとともに、今後の展開を占ってみよう。

日本(日銀:BOJ)

BOJは先月の会合で、市場の予想通り金融政策の現状維持を決定した。一方で展望レポートでは「先行きの不確実性はなお高いものの、こうした(物価目標達成)の見通しが実現する確度は引続き少しずつ高まっている」としたうえ、植田総裁は記者会見で「その(マイナス金利の解除を含め政策)継続の是非を検討していく」と述べたことで、市場ではまずは3月か4月会合でのマイナス金利解除の織り込みが一気に進んだ。但し、現状マイナス金利の適用対象は日銀当座預金のごく一部であり、解除による経済的効果は限定的。植田総裁が「マイナス金利を解除するようになったとしても、きわめて緩和的な金融環境が当面続く」と指摘した通り、経済への影響はアナウンスメント効果によって中長期金利が多少上昇する程度であろう。今後、政府のエネルギー補助金による価格抑制効果が薄れ、安定的な物価上昇が実現する状況となれば、本格的なプラス領域への利上げもあり得る。

欧州(欧州中央銀行:ECB)

ECBは先月の理事会で、市場の予想通り3会合連続となる政策金利の据置きを決定した。声明文では「政策金利をこの水準で十分に長く維持することが、インフレ抑制に大きく貢献する」とし、早期の利下げ観測をけん制した。一方で「引締まった資金調達環境が需要を減退させており、これがインフレ率押下げに寄与している」とも指摘した。これを市場は、足元の欧州経済の減速と米国を上回る速度でのインフレ鎮静化を踏まえた過度な金融引締めへの警戒感を表明したものと受け止め、4月の利下げを6割ほど織込んだ。ユーロ圏10-12月期のGDP成長率は0%、1月のCPIは前年比2.8%まで鈍化、経済活動の温度は低下が進む。今後経済がさらに減速しCPIが2%割れとなれば市場予想通り4月利下げもありうるが、景気の先行指標である株価は堅調を維持しており、今のところ利下げは6月以降と予想する。

米国(連邦準備制度理事会:FRB)

FRBは先月のFOMCで、市場の予想通り4会合連続となる政策金利の据置きを決定した。声明文では「インフレが持続的に2%に向かうとの確信を強めるまで、利下げは想定しない」とし、さらにパウエル議長は会見で「3月に利下げを開始する可能性は低い」として市場の早期利下げ観測をけん制した。米国10-12月期のGDP成長率は年率3.3%と引続き堅調で、株価は最高値圏にある。一方で足元の雇用環境は全般的には良好な状態にあるものの、ハイテク関連企業のリストラが加速しており、今後はインフレを下支える賃金上昇率の鈍化も予想される。当社試算ではCPIが政策目標の2%を下回るのは5月以降と見込まれ、FRBが利下げへと転ずるのは6月以降を想定する。

0コメント

  • 1000 / 1000