衆院選
第50回衆院選が公示され、1,344人が立候補し総議席数465(小選挙区289、比例代表176)を争う。自民党の政治資金問題を受けた政治改革への有権者の関心が高い一方、経済の成長戦略や賃上げ、物価高への対応などをテーマに論戦を交わす。与党の公示前勢力は、自民党は政治資金問題で非公認とする前議員らを除いた247、公明党は32の連立与党で計279議席。石破首相は過半数の233議席を勝敗ラインとするが、▲47議席減ると与党過半数を、自民が▲15議席減らすと単独過半数を下回る。NHK世論調査によると、石破内閣の支持率は44%と岸田内閣最後の調査(9月)20%から24%上昇したものの、岸田政権発足時48%、菅政権62%、安倍政権64%を下回る。また一部の世論調査では、自民単独過半数割れの可能性があるとしている。
足元の株式市場は、石破氏が自民総裁選で勝利した直後の石破ショックから5%上昇し立ち直りを示すが、これは1969年以降の17回の衆院選において、解散から投票日まで株高が続いたアノマリーを見込んだ動きとも見られる。但し、選挙後の株価は政権与党の政策により決まるので、ここで主要政党の経済政策を表1にまとめてみた。
主要政党(現議席) 政策
自民党(247) 低所得者に給付金、金融課税と原発廃止は封印、24年度補正予算を13兆円超に
公明党(32) 低所得の子持ち世帯や学生、年金生活者に給付金、エネルギー補助金延長
立憲民主党(98) 中低所得者に給付付き税額控除、金融所得課税25%へ、日銀物価目標0%超へ
日本維新の会(44) 消費税の税率を8%、所得税・法人税減税、高齢者医療の窓口負担の引上げ
基本的に主要政党全てで、給付金や補助金、減税を掲げる一方、財源には言及せずバラマキ政策を訴える。つまり違いは、給付金等の財源など各種政策の経済へのマイナス面と政策の継続・安定性ということになる。ここで可能性の高い選挙結果として①自公で過半数、②自公+αで過半数、③立憲民主党+αで過半数、を想定した場合の市場反応を予想してみよう(αは日本維新の会や国民民主党を想定)。
① 自公連立…給付金等を増額、エネルギー補助金は継続するなど、基本的には岸田政権を踏襲、財源もこれまで通り国債増発となろう。但し、政権維持と共に石破カラーが反映され、増税を含む財政改革の議論や日銀の追加利上げ可能性も高まる。政策の継続性から株式は上昇基調を維持。一方で日銀の利上げ継続から金利は上昇基調、為替は金利上昇と財政改革期待からやや円高か。
② 自公+α…基本的に①と同じだが、バラマキ度合いは高まると予想される。政権は不安定化するものの、石破カラーは封印されバラマキ政策の強化から株式はやや堅調。一方で財政赤字の拡大加速から金利は上昇、為替はやや円安か。
③ 立憲民主党+α…アベノミクス政策を否定、財政赤字の増加幅は少ない。一方でインフレ抑止を強化、日銀の物価目標0%超は長期的にはデフレリスクに繋がる。株式は政権の不安定化と金融所得課税および将来のデフレリスクを警戒し下落基調へ。金利は利上げ加速の思惑から短期金利は上昇する一方、長期金利は景気後退リスク拡大から上昇は限定的。為替は財政健全化期待と金利上昇で円高か。
ざっくりと予想をしてみたが、一般的に選挙は「水物」、市場の動きも予測困難である。全く異なる結果と市場展開となった時にも、慌てないように準備だけはしておきたい。
0コメント