サイバー詐欺対策

先日インターネットで買い物したところ「10万円が当たりました」との通知が来た。これはラッキーなことと思い指示されるがまま画面上のボタンを押すと、メールが送られてきて「空メールを返信して下さい」とのことだった。ここで「詐欺行為」と判断し無視したが、これに似た「絶対儲かる」とか「口座が閉鎖されました」などの詐欺メールは毎日のように送られてくる。警視庁によると、日本におけるSNS型投資詐欺被害額は今年1~10月に747億円と巨額で前年同期比3.9倍。いつ被害に遭っても不思議ではない。そこで、金融庁などが推奨する警戒方法や詐欺対策を確認してみる。

・元本保証付き…通常の投資商品は評価額が上下するリスクがあり、将来のリターンを保証できない。絶対に儲かるとか元本保証を約束して投資商品を勧められた場合、詐欺と疑うべき。現在、日本の短期金利はほぼ0%であり、短期間でリターン10%を目指すなら優秀な運用者(シャープレシオ1倍)でも、理論上同じ確率で10%の損失が出る計算になる。

・簡単な商品説明書…どのような投資商品であっても、それに関する商品説明書は存在する。説明書が非常に簡潔な場合、或いは説明書の提供すらない場合は詐欺と疑うべき。

・執拗なマーケティング…投資詐欺の実行犯は、オンライン広告や有料のインフルエンサーなど、マーケティング活動に多額の費用を掛ける。これは、短期間で出来るだけ多くの人々にリーチし、迅速に資金を取り込むため。まさに執拗な勧誘行為は、路上の客引きと同じで警戒すべき。

・未公開株や私募債…一般的に、未公開株や私募債の取引を幅広い投資家に勧誘することはない。勧誘のあった直後、別の顧客が同じ商品にタイミングよく購入意欲を表明する場合は、特に注意が必要。

・公的機関からの委託・指示…通常、金融庁など公的機関が投資の勧誘やそれに類した業務を民間業者に委託・指示することはない。また金融庁はホームページ上で免許・許可・登録業者の一覧を開示しており、事前に確認することもできる。

・無名な運営者…一般の投資会社は、運営する人物がどのような経歴の持ち主かを積極的に開示し、また彼らはソーシャルメディアも積極的に活用しており、実績を把握し易い。逆に運営者のキャリアがよく分からない場合は、十分な注意が必要だ。一方で、情報が溢れかえる著名人を騙る「無料の投資教室」を通した被害も広がっているため、当該投資会社以外のルートを使った確認も必要。

・不審な資金振込先・通話先…振込先が個人名義の口座であったり、振込先口座が頻繁に変わる。また、通話相手先の電話番号が非表示であったり、海外からの場合などは詐欺が疑われる。

 以上を参考に、警戒感を持って投資話や投資サイトに向き合って欲しい。実際、高い運用利回りの確保は難易度が高い。34年ぶりに最高値を更新した日本株であっても、投資経験が豊富なプロが運用する我が国の日本株アクティブファンドで、インデックスを凌駕する割合は3年間の成績で2割程度しかないのが現実である。

さて、冒頭の10万円の件だが、その後インターネットで調べたところ、他にも大量の当選者が存在しており、詐欺ではなく10万円獲得できたかもしれなかった。但し、筆者は小学生の頃から「棒アイスもう一本」すら当たらないタイプなので、今回はこれで良しとしている。  

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