株式で占う日米中経済
新年あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。
昨年(2024)のGDPランキングで、日本は独に抜かれ世界第4位へと転落、IMFによると今年(2025)は印にも抜かれ第5位となる見通し。相変わらず冴えない流れが続くが、株価動向を参考に上位の米・中も含め、今後の展開を占ってみる。
日本…以前当欄でも指摘したが、基本的に日本経済は米経済を数十年遅れで追い掛けているように見えることから、過去の米株から日本の今後を占ってみる。図1は1960年以降の米国マーケットの推移。米株は1974年の物価高騰で直前の高値から約50%下落、再度高値を更新するまで15年を要した。自信を失った米国で「Japan as No.1」が出版されたのは1979年。1980年代後半にはかつての花形自動車産業も日本勢に席巻され、映画「ダイハード」や「バックトゥザフューチャー」に描かれたように、日本企業が大挙して米国資産を購入。一方、1978年の適格年金制度401Kスタートと共に株など資産価格が上昇、投資マネーが資本市場に溢れ始める。その後1992年ソロス氏が通貨ポンド売りで英中銀に勝利、金融業、特にヘッジファンドビジネスが躍進した。ところで現在の日本は34年ぶりに日経平均が最高値を更新したものの、国民は自信をすっかり喪失。隆盛を誇った自動車産業は中国の猛追を受ける一方、円安進行が外国資本を呼び寄せる。また昨年スタートした新NISAもあり、投資マネーは国内に溢れ始めている。つまり1980年代の米国とそっくりで、今後予想されるのはヘッジファンドに代表される投資運用業の隆盛と株高かもしれない。その上でGAFAMのようなスター企業の誕生を期待したい。
中国…不動産融資規制で不動産バブルが崩壊。少子高齢化と若年層の就職難で消費が低迷、デフレ局面入りした。対米貿易黒字の拡大で米国による経済制裁が始まり、遂に米通商代表部が半導体産業に関する調査を開始、中国はバブル崩壊後の日本に酷似する(図2)。中国政府が繰り出す経済対策も当時の日本に酷似しており、今後失われた30年を迎える可能性は高い。結局、当時の日本同様、デフレ下で通貨元の下落を許容し資本財価格が割安となるまで、経済は回復しないかもしれない。一方で日本が中国の代替となり、漁夫の利を得ることを期待したい。
米国…2010年以降、GAFAMに代表されるように米経済は独り勝ち、株価もS&P500が2010年から5倍となり、家計に占める株式資産の割合は401Kスタート時の15%が80%を超えた。先頭ランナーの米国に先例はないが、100年前のスペイン風邪以降の世界情勢を参考にしてみる。当時、各国の財政支出拡大の影響で株価は上昇、その後世界恐慌を迎え、米国は関税引上げに動いた。また世界では民衆の不満が爆発、ナチス等の極右政党が勃興した。昨今の各国の極右政党躍進、トランプ次期政権の自国優先策、金融緩和下の堅調な米株を見ると、今後の緩和終了が米経済の変調に繋がるかもしれない。
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