米国市場
トランプ政権の繰出す関税引上げに対し、カナダや欧州が報復関税で応酬。それに対しトランプ氏も更なる報復関税を表明するなど、世界は米国を震源とした貿易戦争の様相を呈する。一方、米国では関税引上げに伴い物価上昇と消費減速の同時進行が予想され、スタグフレーションリスクへの警戒から米株は調整局面入り。但し、トランプ氏は選挙公約を果たしているに過ぎず、ある意味で米国民が望んだ調整局面入りとも言える。従って、次に国民審判が問われる中間選挙まで米株の調整は続く可能性がある。
2月のCPI、PPIは1月から上昇ペースが減速したものの、今後は関税引上げによる物価上昇が本格化するとの見方は多く、景気後退とインフレ高進の綱引きで米金利は乱高下する。因みに手元の試算では、関税によるCPI上昇圧力は対中国で0.2%、対カナダ・メキシコで0.5%となる。これは3~6か月のラグで物価に反映されると予想され、6月以降のCPIには上昇圧力がかかる。物価上昇に加え、DOGEによる雇用削減策に伴う労働市場の悪化は景気後退へとつながり、足元のエネルギー価格下落とともに金利低下要因にもなる。当面の米金利は、物価上昇と景気後退観測の綱引きとなり、変動の大きい展開が予想される。
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