日米欧経済

・米国

5月の消費者物価、生産者物価指数は共に前月から前年比が小幅上昇したものの予想対比では下振れ、関税引上げの価格転嫁は限定的だ。中小企業楽観指数は5か月ぶりに前月から上昇、トランプ政策に身構える企業も先行きに自信を取り戻しつつある。6月のミシガン大消費者態度指数も年初来の低下基調が反転、関税交渉進展への期待が消費者マインドを支える。週次の雇用関連指数は悪化、特に失業保険継続受給者数は2021年以来の高水準。インフレは鈍化基調にあるものの、中東情勢の緊迫化は原油高や景気後退を招くリスクがあり、6/17-18のFOMCでは金利据置きが予想される。

・欧州

ユーロ圏4月の鉱工業生産は4か月ぶりの前月比マイナス、トランプ関税に伴う不透明感の高まりが影響する。ユーロ圏の貿易収支は前月から黒字幅が縮小、関税引上げ前の駆け込み輸出は一巡しつつある。ラガルドECB総裁は講演で、強圧的な貿易政策は報復を誘発し双方が損失を被る可能性が高く、長期的には通用しないと指摘した。ウクライナ紛争の不安定な状況が続く中、イスラエルがイランの核施設を攻撃、世界は地政学リスクの高まりに身構える。

・日本

1-3月期のGDP成長率改定値は前期比年率で▲0.2%と上方修正、個人消費や民間在庫の増加が貢献。一方4-6月期の法人企業景気予測調査では、大企業全産業が5四半期ぶりの前期比マイナス、米関税引上げが重荷となり製造業が落ち込む。5月の景気ウォッチャー調査では現状、先行DI共に改善、関税交渉の進展期待が支える。国内企業物価は前年比で昨年9月以来の低水準、原油価格の下落と円高が影響する。6/16-17の日銀政策会合では、政策金利の据置きが予想される。一方で減税策に伴う財政悪化懸念から上昇した超長期金利に対する何らかの配慮も期待され、国債買入方針における減額幅の縮小や買入対象の超長期エリアへの傾斜配分などが想定される。

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