日米欧経済
・米国
7月の消費者物価指数はサービスのけん引でコア指数が加速したものの、総合は前月から横ばい、予想の2.8%を下回った。関税による物価上昇を警戒していた市場には一旦安心感が広がったが、その後の7月生産者物価指数は大きく上振れ、前月比で0.9%と3年ぶりの大幅上昇となったことで利下げ観測に水を差された。労働市場では週次の新規失業保険申請件数が3週ぶりに小幅改善した。ベッセント財務長官は「政策金利は今より1.5%低くあるべきで9月に0.5%の利下げも考え得る」と財務長官としては異例の踏み込んだ発言を行ったが、翌日には「FRBへの要求ではない」とした。
・欧州
独およびユーロ圏の8月ZEW景況感はともに大きく下振れ、米関税が本格的に適用となることに対し先行きへの警戒感が広がった。加えて6月のユーロ圏鉱工業生産も前月比でマイナス転換、英4-6月期GDP成長率も前期比0.3%と前期の0.7%から減速するなど欧州経済全般は低迷気味。一方、物価に関しては、足元のユーロ圏CPIが6月、7月ともに前年比2%とECBの目標に沿った水準に落ち着き、政策金利も同じ2%と中銀にとっては心地よいバランス。雇用に大きな悪化がない限り、ECB が現行金融政策を早期に変更する可能性は低く、景気回復の主役は財政支出になるとの見方が強まりつつある。
・日本
4-6月期のGDP成長率は予想外の大幅上昇となり5期連続のプラス成長、前期分も上方修正された。個人消費は横ばいだったが、米国の関税措置発動後も輸出への影響は限定的で外需が伸長。設備投資も内需を下支えした。物価に関しては7月の国内企業物価が前年比2.6%、昨年対比下落した原油価格と円高の影響で4か月連続で鈍化した。コメなどの食料品価格は高止まるものの、川上段階でのインフレ圧力はピークアウトしつつある。
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