米国逆イールド

今年3月、11年半ぶりに米10年金利が3M金利を一時的に下回ったことを材料にNYダウが$400下落し、昨年12月には5年金利が2年金利を下回ったことを契機にNYダウが$800下落するなど、イールドカーブの形状が株式市場に影響している。これは過去に米長短金利の逆イールドが的確に米景気後退局面入りを予言していたことから市場が反応したもので、昨年6月のFRBレポート(Don’t fear the yield curve)でも、代表的なシグナルとされる10年-2年スプレッドが過去9回のリセッションをほぼ予見していたと指摘し有意性がある旨を公表している。図1は過去約40年間の10年-2年スプレッドとNYダウの推移および景気後退期間で、現在は10年-2年はまだ逆イールドとなってはいない。

図2のように、短期金利はFRBの政策金利に追随するため金利変動幅は通常小さいが(Vol低い)、長期金利は先行きの景気動向を市場が予想してある程度政策金利に対し自由且つ大幅に動く(Vol高い)。

つまり過去においては、政策金利が実際の景気後退を確認するまで低下しなかったのに対し、長期金利は将来のリセッションを事前に予想して一足早く低下したため逆イールドを作り出したと考えられる。近年、日欧金利がマイナスとなるなど世界的な低金利の中で、グローバルに動く投資資金は金利が高い米債に偏り、足元で長期金利の低下幅が短期金利を大きく上回り一部逆イールドとなったと見られる。リーマンショック以前は債券投資需要が分散されていたのに対し、現在は米国に債券投資が集中気味でインジケーターとしての機能は低下気味。好需給とタームプレミアム低下により発生した今回の逆イールドが、リセッション入りを正確に予言しているかは少々疑問だ。

仮に、今後10年-2年が逆転した場合、表1から経験的に求めるNYダウの売り時は、逆転後約17カ月後のNYダウが15%程度値上がりした時ということになる。 


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