ドル円のボラティリティーが過去最低

為替の円/米ドル(JPY)はある程度上下に動きながらも直近2年間110円近辺での取引が続いた結果、オプション市場のインプライドボラティリティー(IV)が下落し、6Mおよび1年などのIVは6%割れと過去最低を更新した。ただし過去の例を見るとIVが7%を下回った後に大相場となることが多く、2007年は40円、2014年は20円を越える変動となっている(図1参照)。

また、今年は10連休という過去に例を見ない日本市場のGW連休がIV低下に拍車をかけているようだが、過去を見ると日本市場が連休中で市場が薄いタイミングで仕掛け的な動きが起こることが多く、直近では2019年1月3日の4円幅の円高が挙げられる。図2は直近5年間のGW、年末年始のタイミングとJPYの動きを示したもので、FX取引のストップ(損失が膨らむと自動的に損切りさせられるため相場の動きが加速する)狙いもあろうが、過去においては連休をまたいで比較的神経質な動きとなっていることがわかる。

ちなみに、連休を前に市場がこう着するとIVが低下傾向となることが多いが、加えて営業日が少ないためオプションを売る動きが加速されることもIV低下の一因と考えられる。ここで連休中の営業日が少ないため理論的にどの程度IVが低下すべきかをGWを含む今後1カ月で計算すると、

√16/250(営業日/土日除く1年):√30/365(実日数/1年): =0.253:0.287=0.88倍 

となり、期間を短くするとその影響はさらに大きくなる。これは実際に海外市場取引がほとんど無い日本株の場合顕著だが、FX取引は日本の連休に関係なく海外で取引が行われるため影響は小さい。

図2を見るとJPYはチャート的にフラッグを形作っており、次回離れた方に大きく動くことを示唆している。通常日本のFX投資家は外貨買いなので、損切りを狙うなら円高方向の仕掛けとなろうが、昨年末に世界的に株価が急落した時、および先週ムニューシン財務長官が日米貿易協定で円安牽制となる要求をする可能性に言及した時も円高方向の反応が鈍かったことから、今回は円安という可能性もある。

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