日米欧経済

・米国

ジャクソンホール会議では、パウエルFRB議長が通商政策を巡る不確実性に言及し、米経済は著しいリスクに直面しているとの認識を示したため、市場では追加緩和を確実とする見方が広がった。一方、米中貿易戦争では中国が米による対中関税への報復措置として米製品750億ドル相当への追加関税を発表したのに対し、米側は既に関税発動済みの2,500億ドルと9/1発動の3,000億ドル分への関税を引上げると発表、報復合戦の様相を呈しているが、米政府はマクロ経済への悪影響は限定的としている。

・欧州

8/22公表のECB理事会議事要旨では、Brexitや伊政局および保護貿易主義の広がりを受けて景気と物価に対する見方が慎重化していることが示され、9月の金融緩和が確実視されつつある。英Brexitに関し現状は合意なき離脱の可能性が高まっているうえ、伊では連立政権が崩壊するなど、欧州政治は混迷の度合いを強めつつあるが、緩和基調の金融政策に加え、独では財政支出拡大を検討しており、欧州経済の底割れは回避できよう。

・日本

6月の全産業活動指数は前月比▲0.8%と3ヶ月ぶりのマイナスで、米中貿易戦争の影響もあり生産活動は勢いに欠ける。また、7月消費者物価上昇率は総合が前年比0.5%、コアは0.6%と日銀目標を大きく下回り再びデフレの入り口に立つなど、アベノミクス後に始まった戦後最長の景気回復局面もついに曲がり角を迎えつつあるようだ。一方で、日米貿易交渉は基本合意に至り、日本にとっては米中に加え日米貿易問題を抱える事態は回避されそうだ。

0コメント

  • 1000 / 1000