混迷するBrexit
英国ではBrexit期限の10月末に向けて、ジョンソン首相率いる保守党と野党の迷走が続いている。
<これまでの経緯>
8/28首相:合意なき離脱阻止に向けた議会の動きを封じるため9月中旬~10月中旬まで議会閉会決定。
9/4 議会:EU離脱期限の3ヶ月延期法案が可決。保守党:造反議員21名が保守党離脱。
首相:解散総選挙の動議を提出するも、議会で2/3の賛成が得られず否決。
9/5 野党(労働党,スコットランド民族党):延期案がEU首脳会議で承認されれば10/29に総選挙を検討。
首相:週初に再度解散総選挙動議の提出を検討。
<今後の展開>
議会は今週中に閉会となる。10/19までに議会がEUとの合意受け入れを可決するか、改めて合意なしで離脱することを承認しない限り、首相はEUに対して来年1/31まで離脱期限の延長を要請しなければならない。その場合は10/17,18のEU議会までに要請書を提出する必要がある。まとめて図示すると、
(A)首相による総選挙動議が可決されると解散総選挙となるが、現状保守党の支持率が回復しているので保守党が過半数の議席を確保しそのまま合意なき離脱となる可能性が高い(*)。ちなみに足元の保守党支持率は33%で、労働党22%、自由民主党21%、Brexit党12%と続く。
(B) 総選挙が否決された場合、首相は自分で内閣不信任案を提出する可能性もある。その場合は野党が内閣を信任することで対抗するというねじれた事態となり、不信任となればやはり解散総選挙で保守党勝利→合意なき離脱か。
(C) 内閣不信任案が否決され信任された場合でも首相が議会採決を遵守しない場合があり、そのときは英最高裁の判断を仰ぐ。遵守しないことが認められればそのまま合意なき離脱となる。
(D) 最高裁で違法となればEUへの延期要請となるが、EU議会で全会一致で認められればとりあえず延長戦入り。
(E) 野党は総選挙動議を提出し可決されれば解散総選挙。その場合は残留派過半数となる可能性もあり、国民投票第2回目の可能性が高まろう。
0コメント