欧州債券

1.ユーロ圏債券に強気

・金利は当面上がらない

世界景気の先行指標としてGold/Copper(図1…確かに)および(スイスフラン+JPY)/エマージング通貨(≒図2…それほどでも?)のチャートを見ると既に景気後退局面入りを示唆している。つまり2019年は景気に強気だが、2020年は景気後退局面入りの恐れがある。欧州全体の経済指標とECBのスタンスから考えると、ECBによる低金利政策はしばらく続く。

・キャリー探しは続く

独、仏金利など主要国金利がマイナスとなるなか、キャリーを求めて伊、スペインおよびその他プラス金利が残るクレジット債への資金流入は止まらない

・金利のボラティリティーは低下する

ECBは当面利上げをしない一方、伊がマイナス金利に対し警戒感を示すなどマイナス金利深堀りも今後は慎重になろう。結果金利のボラティリティーが低下するため、中期から超長期の債券のリスク/リターンが良好となることでイールドカーブはフラットニングする。

2.量的緩和(QE)余地は国債よりもCSPP

・ECBは9月に200億ユーロ/月のQE再開を決定したが、1国が発行した国債の買入上限33%は据置きとなった。今後の資産買取り余地としてはCSPP拡充(社債購入プログラム)があり、クレジットスプレッドのさらなる縮小が期待される。

・2016年1月にはCSPP対象で投資不適格級債券のスプレッドプレミアムは投資適格級に対し32%だったが、2019年8月時点では19%に縮小。つまりCSPP対象で投資適格級の債券にクレジットスプレッド縮小余地がある。

3. 5年の金利は低すぎる

CDSなどの影響もあろうが5年エリアの金利は全般的に低すぎる。5年債を購入するよりは、2年と10年のバーベルがお勧め。

4.イタリア国債に強気

イタリアでは、反EUのポピュリズム政党「同盟」が連立政権を去り、「五つ星運動」を中心とする親EUへとハンドルを切ったことで政治的リスクが低下したことはイタリア債にとって好材料。さらにBrexitを控え英富裕層の一部が欧州へ移住する動きが出ているのに対しイタリア政府が積極的に受入れる姿勢を示していることから、今後イタリア財政が好転する可能性がある。SGは今後10年債が50BP低下すると予想している。

5.国毎

・イタリア、欧州のクレジットに強気

・ユーロ圏以外の欧州、イギリス、米国のクレジットに弱気

6.セクター別

・公益、銀行、保険のクレジットに強気

・車、消費、工業のクレジットに弱気

7.欧州内での雰囲気(クレジットだけでなく全般的に)

・スペイン、ポルトガル、スイスに強気

・ベネルクス、フランスに中立

・独、オーストリア、ノルウェーに弱気

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