ブラジルレアル

本来ブラジルレアルは①海外要因の資源価格、②国内要因として政治経済、および③金利との相関が高い。図1は資源価格としてCRB商品価格指数、ブラジル2年金利とレアルの推移。

<米中通商協議進展で①海外要因は緩和>

来年の米大統領選を控え、今後行き過ぎた米保護貿易主義の修正が期待される。既に米中通商協議の部分合意や半導体価格の持直し等で資源価格、および中国株、米国株は反発基調となっている。

<年金改革法案成立で②国内要因も進展>

10月22日に年金改革法案が成立となり財政改革に進展が見られたことは通貨レアルにとって支援材料となった。ブラジルの財政赤字はGDP比7.2%と巨額で、膨大な年金給付がその根源にあり、今回の改革により10年で8,000億レアル、GDP比1%の支出削減が見込まれる。政府はさらなる財政健全化策に着手すると思われ、今後の財政改革としては、

・中央政府の歳出の2割強を占める公務員給与の削減(早速ゲデス財務相が議案を提出する模様)

・大規模油田入札や国営電力公社の民営化による財政支出削減  などが挙げられる。

<③金利低下も一旦終了>

10月30日の金融政策委員会で、中銀は市場予想どおり0.5%政策金利を引下げ過去最低となる5%とする一方、現状の低金利が将来のインフレ率上昇などに繋がるリスクがあるとした。利下げが既に織込み済みだったが、中銀声明により将来的な利下げ打ち止めの思惑が広がったこと、および米国利下げと同日だったためレアルは底堅く推移。今後は先行き金利低下予測の後退とともに強含む可能性もある。

最大の難関と思われた年金改革を成し遂げた流れで行財政改革が順調に進めば、財政赤字拡大に歯止めがかかり、史上最高値を更新したボベスパ株価指数に加えレアル高・債券高のトリプル高も期待できよう

0コメント

  • 1000 / 1000