仕組債のしくみ

株式と債券の中間のリスクリターン特性を持ち、比較的クーポンが高いとして仕組債が人気である。仕組債はなぜ高めのクーポンがついているのかというと、デリバティブとしてオプションの売りを内包しているため。ここで1年満期の日経平均リンク債をおおまかに分解してみよう。

1年満期の日経平均リンク債(当初株価23,000円)で、ノックインを65%(KI:14,950円)、ノックアウトを100%(KO:23,000円)、クーポンを1%(0.25%×4回)とした場合の満期償還金額の簡単なシミュレーションは次のようになる。

図1は行使価格14,950円の日経平均プットオプションを売却したときの満期損益線で、そのオプションプレミアムを直近のボラティリティー25%を使って計算すると120円(*)。相場が下落して14,950円以下となれば原資産の買持ちポジションとなり、原資産価格の下落と共に損失が膨らむ。

図2は図1のオプションを額面100円の債券に直して計算した場合。プレミアム0.50円が、お客様に4回に分けて支払われる仕組債のクーポン原資となる。ノックインとなれば損失が出るのは図1と同じ。

図3はクーポン期待値の計算。まず初回クーポン0.25%は必ず支払われる。3ヶ月後に相場が当初株価より上昇してノックアウトする確率を約1/2と仮定し(**)、ノックアウトせず次の6ヵ月後に支払われるクーポン0.25%の期待値は0.25×0.5=0.125%。同様に9ヶ月後は0.25×(0.5)2=0.0625%、12ヶ月後は0.25×(0.5)3=0.03125%。それらクーポン期待値を合計すると、0.25+0.125+0.0625+0.03125=0.46875%で、ほぼオプションプレミアム(0.50%)を期待値ベースでお客様にお支払いする仕組み。

*ボラティリティーが上昇するとオプションプレミアムも上昇し、仮に上記14,950円プットのボラティリティーが30%に上ると、プットプレミアムは120円から220円となり、債券のプレミアムは0.50円から0.94円へと上昇する。

**実際にはノックアウト時にはオプションの早期解約費用が発生するうえ、先行きのノックアウト確率は1/2ではなくなるため、モンテカルロ法と呼ばれる複雑なデリバティブ計算をしている。   

0コメント

  • 1000 / 1000