2020年の10大テール
今年も師走入りとなり来年のマーケットを占う時期となってきた。今年の主要株式市場はトランプ大統領に振回されつつも、結局年末に向けて堅調な展開となったが、来年もし起こったら市場に大きなインパクトを与えそうな10大テールリスクについて占ってみよう。
①米大統領交代…来年は米大統領選挙の年で、トランプ大統領は再選を目指し様々な政策を繰り出す。既定路線は再選だが、支持率を見ると民主党候補が勝利し大統領交代の可能性もある。また、弾劾訴追によって追い詰められたトランプ氏が途中で選挙戦を投出してペンス大統領誕生のシナリオも。
②米中貿易戦争激化…市場メインシナリオではトランプ氏は米大統領選を前に景気浮揚効果を狙い対中攻撃を緩める。ただしトランプ氏には得意の「ちゃぶ台返し」があるうえ、大統領が交代しても米国民の民意は対中制裁強化の方向なので、結局来年は米中貿易戦争がさらに激化する。
③Brexit…総選挙で保守党勝利となれば先日纏めた条件でEU離脱を目指すが、議会で否決となれば引続き合意なき離脱リスクがある。労働党勝利の場合2回目国民投票の可能性が高いが、再度離脱が選択され振出しに戻るリスクも。スコットランドでは独立を探る動きもあり英国政治の混乱が続く。
④中国バブル崩壊…中国では5千万戸とも言われる空室投資用不動産を抱えながら、例えば深圳住宅価格は年収の34倍と庶民には手が届かない価格帯へと上り詰めた。家計の債務比率も日本のバブル期と同じ120%まで上昇し、毎年住宅バブル崩壊リスクを指摘されるが価格は54ヶ月連続で上昇中も遂に崩壊。
⑤香港情勢緊迫化…2047年までの高度な自治を認められているはずの香港で、中国政府からの非民主的な政治介入が続いている。エスカレートする中国への抗議行動に対し香港警察が発砲、天安門事件を彷彿とさせる状況で、市民への武力弾圧となれば米軍が香港出動となる可能性もゼロではない。
⑥南米で政治混乱…ブラジルでは釈放されたルラ元大統領が左派勢力を集結しているうえ、ベネズエラでは長年のバラマキ政策の影響でインフレ率が170万%とほぼデフォルト状態。アルゼンチンでも2001年デフォルト時を上回る政府債務を抱えた状態で左派政権の復活を受け、再びデフォルトの危機。
⑦第2のアラブの春…イランではガソリン価格の値上げをきっかけとして反政府デモが勃発。最高指導者ハメネイ氏を公然と非難する動きもあり、国民の大勢を占めるシーア派による異例の体制批判へと発展している。イラク・レバノンでも反政府デモが拡大中で、来年は中東で第2のアラブの春が勃発。
⑧安倍政権交代…衆院の任期は再来年だが、安倍首相は追込まれる前に解散総選挙に踏切る可能性が高い。時期は五輪成功の余勢を駆った秋以降で、野党の不甲斐なさに乗じて憲法改正を公約として戦うが、予想外の大敗となり責任を取る形で首相を辞任。小泉首相が誕生する。
⑨日・独で財政支出拡大…日本は13兆円規模の経済対策が閣議決定され事業規模は26兆円となる。ドイツでは党首が交代したSPD(社会民主党)が財政支出拡大を求めており、メルケル首相による緊縮財政方針が転換。国別GDP3・4位の日・独が揃って財政支出拡大となり世界的に経済成長が加速する。
⑩東京五輪で景気回復…WCラグビーは日本の活躍もあり予想以上に盛上り経済効果も約0.5兆円だった。同様に東京五輪でも経済効果が見込まれるうえ、日本が金メダルラッシュとなれば消費も盛上ろう。反動に対する万全な景気対策を経て大阪万博へとバトンタッチされ切目ない経済成長が期待される。
来年の事を語ると鬼が笑うというが、不穏なテールリスクに関しては杞憂に終わって欲しいものだ。
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