GDPと株価の関係を投資に応用

年初当欄にて、長期的に日米欧株価はそれぞれのGDPの動きをトレースしていると解説した。今回は日米欧に加えGDP成長が著しく世界2位となった中国、および28年間不況知らずの豪州についてGDPと株価推移過去20年間を図1.に示した。図を見ると豪中ともに順調にGDPが成長しているのに対し、株価の上昇は今一つ。特に中国株に関しては2007年に高値を付けて以降、GDP成長にも拘わらず高値から半値ほど下げた辺りで低迷している。

表1は日米欧豪中5カ国の過去10年間GDP成長率および株価指数リターンとボラティリティーをまとめたもの。表を見るとGDP成長が年複利で10.6%と高かった中国株のリターンは図1で示した通り必ずしも高くない。これは株価が経済成長を先取りして2000年代に既に上昇していたことに加え、高ボラティリティーが高リスクと認識され株価がやや割安に取引されているためと考えられる。豪州のGDP成長率自体は米国に近いが、株価リターンは低め。結局過去10年間は米株のパフォーマンスが良好で米株のみに投資をしていれば良かったという結論になる。一方、表1を見ると日本株はボラティリティーは高めだがリターンは米国に次ぐ成績で、その比率であるリスク・リターンが5カ国の中で米国に次いで良いことが分る。これらを横軸ボラティリティー(リスク)、縦軸リターンとして示したのが図2。米株のリスク・リターン特性が高いことは明らかだが、失われた30年と言われ株価も低迷していたイメージの日本株が過去10年間はリスク・リターンの面で比較的健闘していたようだ。

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