株式リバウンドは本物か?

新型コロナウィルス問題の完全解決までの道のりは遠そうだ。ただし武漢から日本への帰国者の感染率である約1%を武漢の住民数1,100万人に当てはめると、感染者は約11万人とも予測され、死亡者数810人から致死率は0.7%となり通常のインフルエンザ並み。死亡者数も今シーズン米国の旧来型インフルエンザによる1万人を大幅に下回っており、問題は未知のウィルスへの恐怖感ということになる。つまり今回は感染の封じ込めより治療薬開発が株式相場反転(リバウンド)のタイミングとも予想されるが、ここで足元株価のリバウンドは本物なのか、過去の事例を見ながら考えてみる。

表1はWHOが過去に緊急事態を宣言した事例で、図1はWHOが宣言を出した日時をゼロとした場合の前後60日間の米株(S&P500)指数の推移である。コロナウィルスを原因とする相場下落例として2003年のSARS禍の相場つきを見てみると、当時はWHOが3/13に緊急事態宣言したタイミング直後に相場が反転している。他の事例でも同様に緊急事態宣言後に米株は上昇しており、やや例外なのは2019年7月のコンゴ民主共和国におけるエボラ出血熱の事例くらい。今回も1/30にWHOが緊急事態を宣言したので、今がリバウンドのタイミングとなる。そしてその上昇期間だが、過去の例からは凡そ40日程度は続くようで、2003年のSARS禍において上げ相場はWHOが終息宣言を出す7/5まで続き、一旦踊り場のあと再度上昇となった。

米ギリアド社の抗ウィルス薬の臨床試験を中国で開始とのニュースもあり、治療薬開発の期待が高まる中で米株はすでにリバウンドし最高値を更新した。「噂で買って、事実で売る」という相場の格言があるが、今回もSARS禍などと同様にWHOの緊急事態宣言が相場の底と仮定した場合、現在はリバウンド局面と認識し米株を購入し、40日程度は保有するつもりでWHOの終息宣言を待つという戦略が有効かもしれない。 

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