バランス型ファンドのリバランス
今回の世界的株価下落局面で、資産のリバランスという話がよく聞かれる。リバランスは一般的にバランス型ファンド(資産毎の保有比率一定)が減少した株の保有比率を適正水準に戻すため、値下がりした株を購入するという一連の再配分のこととされている。一方で、同じバランス型でもリスクパリティー戦略(資産毎のリスク一定)に従い変動率(Vol)が上昇した株式を売却し債券を購入したというファンドもある。なぜ同じバランス型を標ぼうするファンドでも反対の行動をとるのだろうか。バランス型ファンドとは株や債券など複数の資産クラスを既定のバランスで保有するファンドで、ここでは簡略化のためトータル100億円のファンドとして日本株(日経平均)50%、日本債券(10年国債)50%でスタートし、その後日本株が30%下落した場合の行動を考える。
① 保有比率一定型:資産クラス毎の保有比率を一定に保つ戦略
株が下落すると株式保有額が減少する一方、債券価格が上昇し債券保有額が増加。そこで保有割合が50%を超えた分の債券を売却した資金で株式を購入し(*)、保有比率を株50%:債券50%へと戻す。
② リスク一定型:資産クラス毎のボラティリティー比率を一定に保つリスクパリティー戦略
図1は直近半年間の日経平均と10年債のヒストリカルVol(10日間)である。債券Volは5%近辺で推移しているのに対し日経平均は10%から一時的に70%まで上昇している。つまり債券Volは引続き低い一方、株式のVolが7倍になったので、株式保有比率を下げなくてはならない。全体のリスク(Vol)を当初の7,5%に戻すためには、相関を考えなければ株式の保有割合4%、債券の保有割合96%となる(**)。
<まとめ>
①保有比率一定型は、株が下がった分を追加購入するため、下落が短期間で終了する場合は投資成績が上がる。一方②リスク一定型は、過去の成績が①より一般的に良好だが、株下落でVolが上昇したタイミングで株を売却するので、戻りが急な場合は損失だけが残る場合がある。
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