PER,PBRによる株価分析

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い世界的に企業業績が急速に悪化している。株価はそれを先取りして2月以降急落したものの、3月中旬を底に反発基調に転じており、足元の企業業績とGDPなど経済指標が急激に悪化する中で株価が緩やかに水準を切り上げ続けていることで株価は割高との見方も広がる。そこで株価分析指標としてPERやPBRをチェックしてみよう。

ここで、PER=株価÷1株当たり利益 で、予想PER=株価÷1株当たり予想利益 である。

つまり予想利益がゼロに近付くと予想PERは無限大へと上昇する。

一方、PBR=株価÷1株当たり株主資本 であり、資産価格の大幅下落、増資など資産・負債の状況に大きな変更が予想されない限り株主資本はあまり動かない。

図1においてPERで株価を分析した場合、コロナ禍による1株当たり利益悪化と共にPERは昨年来高値となる17倍まで上昇しており株価は割高にみえる。一方PBRで分析した場合、1株当たり株主資本にあまり変化がないためPBRは1.1倍程度と昨年平均1.15倍に比べ株価はまだ割安と判断される。逆に言えばPERやPBRが従来の平均値に収束すると仮定した場合、1株当たり利益や1株当たり株主資本を予想することで、その場合の妥当な株価が算出できることになる。表1は昨年5月時点(TOPIX=1,540)を起点として減益率を変化させて株価TOPIXを計算したもの。この表で現在の1株当たり減益率を20%と仮定した場合、2月以前の平均PER=15倍を用いるとTOPIXは1,369と計算され、現在の株価1,500は割高となる。一方で、1,500から逆算される減益率は12.3%、株主資本の毀損率は2.6%と計算され、市場はコロナショックを比較的楽観的に見ているようだ。

ちなみに、日本経済新聞によるとTOPIXの予想PERは33倍で以前の平均15倍から急上昇している。これはコロナ禍により今期予想を出していない企業の利益をゼロとして計算しているからで、今後業績予想が発表されるにつれ修正されると思われる。

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