補正予算のインパクト
一般的な景気策には金融政策と財政政策がある。金融政策について、日本では2012年のアベノミクス以降に異次元緩和と銘打ち、日銀による国債やETFの大量購入およびマイナス金利の導入を通じた通貨供給量の増加と流通速度の上昇によるデフレ脱却を目指すリフレ策をとっている。結果的には、物価目標2%達成は未だ見通せない状況にあり、近年の日欧の物価動向を受けてリフレ派の経済学者も理論を修正し始めている。一方、財政政策については、近年各国中銀から金融政策は既にやり尽くし、「次は財政政策の出番だ」との意見が出る状況。今年に入りコロナショック対策として、欧米同様に日本でもアベノミクス的な多額の財政出動が決まった。また、以前当欄でも取り上げたMMT理論(インフレにならなければいくらでも国債を発行できる)が再び話題になるなど、経済学的にも積極的な財政政策をサポートする考え方が広がっている。
さて、財政出動の結果、株価はどうなるかを考えてみる。図1は日本の歳出額と日経平均株価の過去40年間の推移だが、これを見るとバブル崩壊まで順調に増加していた歳出が2000年以降ほぼ横這いとなっていることがわかる。例外はⒶのリーマンショック時で、景気対策として約15兆円の歳出増だった。日経平均の推移を見ると、バブル崩壊後は基本的にはほぼ横ばいだが、歳出額の動きにタイムラグを持ちながら追随している。つまり株価の上昇は歳出増にある程度依存するようで、実際毎年税収が増加する米国では、歳出拡大とともにGDP成長を続けて、それが株高と新たな税収増をもたらす好循環にある。
さて、今回の1次2次補正予算による日本の歳出増加額は約60兆円で、昨年までの歳出額100兆円からは図中Ⓑのように急激な上昇となる。今回もⒶのようにタイムラグを伴って日経平均が上昇する可能性がある。
0コメント