米株下落
米株式市場は、コロナショックを受け3月に急落したが、一部ハイテク銘柄のコロナ禍に伴う巣ごもり需要を取り込んだ業績好調を背景に反転。その後はワクチン開発や感染沈静化に伴いコロナ以前の経済への回帰が期待される局面においても、リモートワークなど社会構造の変化はもう元には戻らないとして米株市場は上昇を続け、S&P500、ナスダック指数は共に史上最高値を更新した。
一方で、米経済は未だコロナ感染拡大リスクの下にあり、一部には最近の米株価水準は指標面から見て割高との指摘も見られたが、9月入り後ハイテク株を中心に急落、ナスダックの下落率は1日で5%と大幅となった。
さて、市場では今回の米株下落は健全な調整であり、空前の金余りの状況下、早晩元の上昇トレンドに戻るとの見方も多いようだが、①チャート面および②過去の下落局面との比較から見た場合、ここまでのハイテク株が主導する上昇相場は一旦終了となる可能性もある。
①チャート面:図1はナスダック指数の直近3ヶ月間の動きだが、急落した9/3は酒田五法(江戸時代の相場分析手法)で言うところの「首吊り線」となっており上昇相場の一旦終了を示唆している。
②過去との比較:ハイテク株が相場をけん引した例としては、2000年のハイテクバブルが思い浮かぶ。図2は株価変動へのハイテク株の影響度合いを示す指標として、ハイテク株比率の高いナスダック指数をS&P500で除した数値の推移だが、今回の上昇相場はハイテクバブル期と同様の動きだったことがわかる。因みにバブル崩壊後、ナスダック指数は再び高値を更新するまでに15年かかったが、上昇相場に乗り遅れたNYダウは下げ幅が比較的小さく回復も早かった。今回のコロナショック後の上昇相場において、足元ではハイテク・グロース株からバリュー株への乗り換えが見られるのも、ハイテクバブル崩壊当時と同様の事態に備えた動きと見ることもできよう。
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