米大統領選後の相場
市場予想はバイデン新大統領誕生に傾きつつ投票日が目前に迫る中で、激戦州のフロリダでバイデン氏の支持率が低下するなど、2016年同様にトランプ氏大逆転の可能性も出てきた。ところで、米大統領選と同時に上院の3分の1および下院全議員の選挙も行われる。上院は現在共和党が53議席、民主党が47議席(無所属を含む)を占め、今回の選挙では共和党23議席、民主党12議席の計35議席が改選対象。民主党が過半数を得るためには、現状の12議席に加えて共和党から4議席を奪えば良いと計算され、今のところ民主党過半数となる可能性が高いと見られている。一方、下院は民主党232議席、共和党198議席で今回の選挙でも民主党の過半数が予想されている。つまり現段階での市場予想では大統領、上院、下院全てにおいて民主党が優位に立つ「トリプルブルー」という状態を想定しているわけだ。ここで大統領選を含めた各選挙の結果別に、採用される政策および株価の動きを短期・長期に分けて予想してみる。
表1.選挙結果に対する短期・長期予想
大統領 上下院 政策 短期 長期
バイデン 両院ともに民主
(トリプルブルー) 増税および環境関連中心にインフラ投資 財政支出の大幅拡大を好感し株上昇 増税と規制強化で成長力鈍化
バイデン 民主&共和、または共和 追加の経済対策。今後政策ごとに協議難航 幾つかの政策の実行期待から株やや上昇 増税と規制強化も一部に留まる
トランプ 両院ともに共和
(トリプルレッド) 減税と追加の経済対策 グロース株中心に再び株全般上昇 現状より政策遂行がスムーズに
トランプ 共和&民主、または民主 追加の経済対策。減税は協議次第 跛行色あろうがグロース株は上昇 民主党案をある程度受入れ財政支出拡大か
決まらず いずれの結果でも 大統領が決定するまで不明 不透明状態を嫌い株は下落 大統領次第で上記のいずれかに落ち着く
このように見ると、トランプ氏とバイデン氏のどちらが勝っても短期的には財政支出拡大或いは減税期待から株価上昇が見込まれる。長期的には、トランプ大統領続投の場合、現在の株高局面が続くと予想されるのに対し、バイデン氏勝利の場合は法人税やキャピタルゲイン税増税の影響で株価の上値が重くなることが予想される。加えて民主党が主張する施策、GAFAなどハイテク企業の分社化が行われた場合は社会全体の競争力減退、また社会保険制度改革による福祉コスト増大から経済の日本化が予想され、株価は長期低迷する可能性がある。また大統領が決まらない場合には、決定まで株価は下値模索となり、その後大統領が決まれば上下両院とのバランス次第で上記いずれかに落ち着こう。ところでトランプ大統領が勝利する一方、上下両院で民主が過半数となった場合は、トランプ大統領が民主党に配慮してある程度バイデン案を飲む形で減税と財政支出拡大の両方が実現、経済は急回復し株価も合わせて上昇する可能性がある。ただし、いずれの場合も将来的な財政赤字拡大と国債増発は避けられず、金利は上昇局面入りの可能性が高い。
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