PMIで見る各国経済

中国の10-12月期GDP成長率は前年比6.5%と7-9月期の4.9%からさらに加速、他国に先駆けてコロナ禍前の成長スピードに戻った。コロナ禍脱出の先頭ランナーとしてウイルスを早期に抑えこみ、投資再開などにより企業部門が回復をけん引した形だが、これは昨年の購買担当者指数(PMI)にその兆候が見られる。

PMIとは調査機関が企業で原材料や部品などの仕入れを担当する購買担当者へアンケートを実施、そこから得たデータを数値化したもので、調査対象は新規受注や雇用、価格など多岐にわたる。なお購買担当者の企業における役割はとてもシビアで、自動車会社における半導体調達を含め、原材料や部品を仕入れる際は市場における製品の需要や取引先企業の経済状況を見極めるなど、あらゆるリスクを考慮し購入量を調節することが求められる。そのため購買担当者の考えは今後の景気を見通すのに役立つと考えられる。PMIには製造業、サービス業およびそれらをまとめた総合指数などがあり、その数値は「50」を景況感の分岐点として、これを下回れば景況感が悪く、これを上回れば景況感が良いとされる。

図1は2019年中旬からの日米欧中のPMI推移を示す。これを見ると昨年初のコロナショックで中国を先頭ランナーとして各国で一斉にPMIが低下している。落ち込み幅は日米中がほぼ同程度であるのに対し、欧州は伊などの感染者数急増とロックダウンなどの影響もありPMI下落幅は大きい。中国のPMIは昨年3月にはすでに回復基調で6月には2019年を上回る水準に上昇しているが、各国株価も同じような傾向を辿った。

図2は図1と同期間の日米欧中の代表的株価インデックス推移を2019年9月を1として示したものだが、PMIが示唆した通り中国株の落込みは他3カ国より小さく立ち直りも早かった。昨年後半以降は米国のPMI回復が顕著で次に日本と続くが、株価も日米で回復基調を辿る。一方、欧州のPMIは落ち込み幅が大きかったうえ昨年後半から頭打ちの状況が続くが、株価の落ち込みも大きくその回復も遅れている。このように株価の動きは概ねPMIの動きに追随する形で、足元ではコロナ禍からの脱出ランナーのバトンが中国から米国へと渡されたようにも見える。

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