衆議院選挙
衆院選が19日公示され1,051人が立候補した。立候補者数は1996年に比例代表制を導入して以来最低、20~30代は初の1割未満、女性比率は2割に届かなかった。候補者段階ではあるが、全体としてみると野党統一候補の拡大もあり、若返りと多様化はなかなか進まないイメージだ。10/31の投開票日に向け、小選挙区と比例代表の合計465議席を与野党が争うが、岸田首相の目標は与党で過半数とやや控えめ。ここで衆院選に向けた、経済政策面における各党の主な主張を見てみよう。
自民 立民 公明 共産 維新 国民 れいわ 社民 N党
主 張 ・数十兆円の経済対策
・介護、看護師所得向上
・十兆円の大学ファンド ・時限的に消費税五%
・一部1年間所得税免除
・一部十二万円現金給付 ・子供一人に十万円相当給付
・マイナカードにポイント付与 ・減収者に十万円給付
・消費税率五% ・二年間消費税五%
・年金保険料ゼロ
・規制改革による成長戦略 ・一律十万、一部二十万円給付
・経済回復まで消費税五% ・消費税廃止
・毎月二十万円現金給付 ・三年間消費税ゼロ
・十万円の特別給付金 ・十万円以上の電子マネー給付
このように並べてみると、各メディアが指摘するように分配政策が目立つ一方で成長政策が乏しい印象は否めず、矢野財務次官が雑誌寄稿で「バラマキ合戦」と批判したくなる気持ちも理解できる。ちなみに分配の財源に関しては各党とも曖昧で、自民は消費税増税を否定、金融所得課税増税にも言及はなく、立民は法人税増税と国債増発を明らかにしているが、各党ともに国債増発が念頭にありそうだ。
現在、政府の借金は1,200兆円でGDPの250%と巨額だが、さらなる支出に耐えられるのだろうか?ここで現状認識として、国債を大量発行しているにもかかわらず、金利は低く、経済全体も安定している状況について、資金の流れ(矢印)で簡略化して説明すると以下の通り。
国民は金融資産約1,900兆円の大部分を預金 ⇒ 民間銀行は運用難で日銀当座預金に預入れ
⇒ 日銀は当座預金を使って国債を購入 ⇒ 国は借金のために国債を発行
こう見ると、国民の金融資産1,900兆円が底をついたら大変なことになりそうだが、企業による資金余剰約600兆円も合わせれば、当面の国債増発には耐えられそうだ。仮に年間の財政赤字を約50兆円とすると、このあと20年くらい支えられる計算になる。一方で問題となるのは国民がいつまでこの仕組みを容認するかだろう。今回の衆院選に関しての民間調査機関のアンケートでは、投票に「必ず行く」が56%、「行くつもりでいる」が29%と合わせて85%と通常の衆院選より投票率はかなり高めの数字が出ている。衆院選では18歳以上に投票権があるが、いつもはあまり投票に行かない若年層の投票行動が結果を左右することになりそう。前回2017年の選挙では、雇用環境の改善を背景に若年層の与党支持率が高かったが、今回はコロナ禍のもと、さらに若年層の票の行方が注目される。
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