日米欧経済

・米国

11月の耐久財受注、景気先行指数、12月の消費者信頼感など経済指標全般は堅調であり、米経済がコロナ禍から順調に回復していることを示す。一方で11月個人消費支出コア価格指数は38年ぶり高水準となり、インフレ圧力の高まりは一向に衰える兆しが見えない。コロナ感染者数が過去最多となる中、政府は経口薬を緊急承認、また変異種の重症化率は低いとの報道もあり、消費活動は堅調を維持している。議会では与党民主党の内部対立から、バイデン政権の最重要施策である大型歳出法案の成立は未だ見通せない状況。

・欧州

オミクロン株の感染拡大を受け、英や蘭が再び行動制限を実施するなど欧州全般は警戒モード入り、ユーロ圏12月の消費者信頼感などのマインド指数は下振れた。一方で総輸入量の4割を占めるロシアからの供給が停滞した影響でLNG価格が上昇、インフレには歯止めがかからない。一部のECB理事は来年の利上げ可能性に言及するなど、金融政策ではウイズコロナを前提とする米国に追随する動きが見える。

・日本

政府は12月の月例経済報告で国内景気の総括判断を「持ち直しの動きがみられる」と17ヶ月ぶりに上方修正した。背景には、緊急事態宣言の解除により個人消費が回復、企業の景況感も改善したことがある。一方で、世界的なインフレ加速と円安を受け11月の消費者物価指数は3ヶ月連続、企業向けサービス価格指数も9ヶ月連続で上昇、インフレの気配が忍び寄る。ここに来て円安誘導を狙った日銀による金融超緩和策の見直しの可能性も出て来た。岸田政権は足元でコロナ感染拡大阻止に成功、支持率は持ち直しつつあるが、オミクロン株の市中感染が確認されるなど、年末年始に向け警戒感は高まる。

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