日米欧経済
・米国
5月のISM景況指数は製造業が堅調な一方、非製造業指数は1年3ヶ月ぶり低水準となった。5月の雇用統計では、非農業部門雇用者数が39万人増と4月から減少したものの引続き高水準、平均時給も前年比5.2%と引続き高水準で、インフレ警戒感は収まらず、ハト派で知られたブレイナードFRB副議長も9月に利上げ一旦停止の可能性は低いとしてタカ派姿勢を維持する。11月の中間選挙に向けインフレ対策を優先するバイデン政権に配慮して、OPEC+は原油の追加増産を決めた。
・欧州
ユーロ圏5月の小売売上高は前月比でマイナスとなったが、5月景況感指数は上振れ。ウクライナ危機や資源高を抱えながらも欧州景気は踏みとどまる。但し、ユーロ圏4月の生産者物価および5月消費者物価指数は前年比で見て前月からさらに加速、インフレの勢いは止まらない。今週のECB理事会では、すでに市場にアナウンスされている資産購入プログラム終了と7月利上げの頭出しが予想される。ウクライナ危機の長期化に伴い、経済制裁の影響はロシア、西側諸国双方の経済活動に大きな修正を迫る。
・日本
4月の失業率および有効求人倍率は3月から改善、賃金上昇率は低いものの労働需給は相変わらず良好だ。一方、4月の鉱工業生産は中国での生産活動停滞の影響で前月比マイナス、小売売上高も価格高騰の影響で前月比減速した。政府は雇用環境の改善傾向を認めながらも参院選をにらみ雇用調整助成金の特例措置を3か月延長し9月末までとした。ガソリン補助金を含む2.7兆円補正予算など財政支出は拡大を続けており、経済財政諮問会議の骨太方針原案から25年度PB黒字化目標の記載が消えた。足元はコロナ対策規制緩和による消費者マインドの改善と供給制約や円安による物価上昇に伴う消費者負担の増加の綱引きが続く。
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