日米欧経済
・米国
11月の小売売上高は予想外に下振れ、12月の購買担当者景気指数も製造業、サービス業共に前月に続き50割れ、インフレの影響で経済全般が減速する。11月の消費者物価指数は下振れ、インフレピークアウトが裏付けられた。FOMCでは予想通り利上げ幅を0.5%に縮小した一方、ターミナルレートは5.125%まで引き上げられた。パウエルFRB議長は会見で「インフレ率は目標の2%からは程遠く、利上げはまだ十分ではない」とタカ派的発言で市場をけん制した。バイデン政権は禁輸リストに中国企業30社を追加、対中強硬姿勢を継続、ねじれ議会を前提に与野党間で共有できる政策を優先する。
・欧州
ユーロ圏10月の鉱工業生産は下振れたものの、12月の購買担当者景気指数は製造業、サービス業共に改善した。主要貿易相手国である中国の11月の鉱工業生産や小売売上高が下振れる中、引続き欧州経済は粘り腰を見せる。ECBは利上げ幅を0.5%に縮小するとともに、量的引締め(QT)の来年3月開始を発表した。ラガルド総裁は会見で「今後複数回にわたり0.5%の利上げを続ける」と想定以上のタカ派姿勢を示した。ウクライナ紛争の長期化に伴い懸念された冬場のエネルギー需給ひっ迫は、中・印によるロシアへの調達先変更に伴い結果的に回避できたが、一方でロシアへの経済制裁の実効性は限られる。
・日本
12月の日銀短観では大企業製造業業況判断DIは下振れたものの、非製造業はインバウンド関連を中心に大幅改善となった。先行きについて大企業は慎重な見方が多いが、中小企業は現状、先行き共に9月調査から改善した。11月の国内企業物価上昇率は10月から減速したものの、消費者物価に対し引続き高水準であり今後も川下への物価上昇波及が予想される。11月の貿易収支は大幅赤字が継続、資源高と円安の影響で今年の貿易赤字は過去最大となりそうだ。今週の日銀政策会合では金融政策の現状維持が既定路線だが、物価上昇を受け先行きのYCC政策見直しに踏み込む可能性もあろう。
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