日米欧経済
・米国
5月の鉱工業生産は5ヶ月ぶりマイナスとなる一方、小売売上高は2ヶ月連続の前月比プラスを維持するなど、金融政策の転換に伴う景気のソフトランディングが見込まれる。消費者物価指数はエネルギー価格下落の影響で11ヶ月連続の前年比鈍化、但しコア指数は前月比でわずかに加速、インフレ沈静化には時間がかかる。FOMCでは予想通り11会合ぶりに利上げ見送りとなったものの、インフレ高止まりを受け23年末のターミナルレートは5.6%へと0.5%引上げられた。世界第2位の経済大国中国の地政学リスク拡大が懸念される中、ブリンケン国務長官は就任後初となる訪中を実現、関係改善が期待される。
・欧州
ユーロ圏4月の鉱工業生産は堅調なエネルギー関連の影響で上振れ、独6月のZEW景況感も予想外に改善するなど、テクニカルリセッション入りとなった欧州経済には早くも底打ちの兆しがみられる。ECB理事会では8会合連続となる利上げを決定、利上げ幅は予想通り0.25%となった。ラガルド総裁は会見でインフレ高止まりに伴う利上げ継続に言及した。ウクライナ情勢においてはウクライナ軍の反転攻勢が続くがロシア軍の抵抗は激しく、戦闘長期化に伴う西側諸国による更なる軍事支援の必要性が高まる。
・日本
4-6月期の法人企業景気予測調査では大企業の景況判断指数が2.7と2四半期ぶりのプラス、4月の機械受注も3ヶ月ぶりのプラスとなるなど日本経済はコロナ禍からの回復途上にある。一方、4月の国内企業物価は円安がエネルギー価格の再上昇要因となり高止まり、川上からのインフレ圧力は継続する。日銀は金融政策会合で市場予想通り現状維持を決定、YCC政策も据え置いた。一方で次回7月の展望レポートでは物価見通しの上方修正が予想され、政策修正の可能性は残る。岸田政権は今国会中の衆院解散見送りを決定、各種政策の一旦停止に伴う国内景気への悪影響は回避された。
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