日本株の頭は重い
日本株は年初に史上最高値を更新して以降、欧米株がその後も堅調に推移しているにもかかわらず、なかなか上昇トレンドに乗れていない。ここで日本株の現状を4つの観点から評価してみる。
・潜在成長率
各国の代表的な株価指数は、およそその国の名目GDP成長率に同期する。一般的に潜在成長率は米国1.8%、欧州0.8%、日本0.4%と見られており、各成長率に各国中銀の物価目標2%を加え、長期的に想定される名目GDP成長率を求めると米国3.8%、欧州2.8%、日本2.4%となる。一方、株価の直近3年間の年率上昇率は米国8%、欧州6%、日本11%であり、コロナ禍からの回復局面とは言え少々日本がスピードオーバー気味である。今後、労働生産性の向上などにより日本の潜在成長率が飛躍的に高まらない限り、日本株の足元でのスピード調整は致し方なしといったところか。
・為替
従前より為替の円安は日本経済の追い風とされてきた。昨今は急激な円安は悪材料として警戒する向きもあるが、一方で円高は企業収益から見るとトータルではやはりマイナス要因となる。今後、日本で利上げが予想されるのに対し米国では利下げが見込まれ、その結果、日米金利差縮小となれば円高が予想される。円高転換による企業収益悪化への警戒感から、日本株の上値が重いとの考え方もできよう。
・金融政策
FRBは2022年3月、ECBは7月に利上げをスタートした。図1は欧米の10年金利(軸は上下逆転)と株価の3年間推移だが、欧米ともに利上げ局面入りと同時に株価はもみ合い相場となり、10年金利が天井を打った時を起点として基調転換。その後は、金融緩和相場への期待感から欧米株価は上昇局面を入りとなった。ところで欧米が2022年に利上げをスタート、欧州は今年6月には利下げ局面入りとなったのに対し、日本は2年ほど遅れて今年3月にようやく利上げをスタートした。利上げ局面入りに対する日本株の動きが欧米株と同じであれば、今後円金利が天井を打つまではもみ合い相場が続くことになり上値の重さもうなずける。但し、近年日本の絶対金利水準は低く、10年金利の天井が米国5%や独3%に対し2%程度に留まれば、実際の企業収益や株価に対する影響は限定的と思われる。
・株価相関
欧米の利上げスタート時期が4か月しか離れていなかったこともあり、欧米株価の相関は過去3年間で0.87と高い。一方、図2は円10年金利と日米株価の3年間推移だが、日米株価の相関も0.83と比較的高い。米株との相関の高さから、米株上昇時には渋々ながらも日本株が追随すると思われる。
0コメント