阪神大震災の引金は地下の洪水

1995年1月に甚大な被害を出した兵庫県南部地震(阪神淡路大震災)の発生から30年が経過した。現在までに地震発生メカニズムなど様々な研究がされてきたが、この程発表された筑波大学の研究によると、阪神淡路大震災は地下の洪水が地震の引金になった可能性があるらしい。

 

日本列島は図1のように海洋プレートが大陸プレートの下に沈み込んでいる場所(沈み込み帯)にあり、海洋プレートから絞り出された水分によって、列島の下部にマグマが発生、これにより日本には数多くの火山が存在する。一方で海洋プレートの沈み込みが浅い場所では、マグマは作られず、水分がそのまま地表まで上昇、これがいわゆる温泉になる。

筑波大学の研究グループは、兵庫県の有馬温泉の7つの泉源を調査、温泉水の元となる酸素と水素の構造を分析したところ、有馬温泉の直下深度67.4kmの水と海洋プレート由来の水と構造が一致。雨水に由来する水を除く温泉水はプレート由来の水であることを突き止めた。更に、震災の前年から突発的にプレート由来の水量が増加していたことが判明。有馬温泉の直下に洪水と言えるほどの大量の水(約10万㎥)が流入し断層の強度を低下させたことが、兵庫県南部地震の引き金になった可能性が示された。ところで類似した地震は長野県の松代温泉でも発生している。1965年から1967年にかけて発生した群発地震では、大量の塩水が温泉から流出したとの記録が残されており、海洋プレート型の地震と考えられる。

今までプレート型地震は、大陸プレート間に溜まった歪みの反発により発生すると考えられ、いつ発生するのか予測は困難と考えられてきた。今回の調査結果から、研究グループは温泉水のモニタリングを続けることで、地下深くの洪水をいち早く検知し、地震の発生を事前に予測する道が拓けると期待する。昨年8月には宮崎県沖の日向灘でマグニチュード7.1の地震が発生、初めて「南海トラフ地震臨時情報」が気象庁から発表された。地震大国日本において、地震発生の予測精度向上は極めて重要だ。

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