日本株のセクター分析
近年日本株が低迷する理由として、株式需給の悪化や少子高齢化、企業の低収益性等が挙げられるが、セクター毎の株価パフォーマンス比較を行うことであらためて原因を分析してみる。
表1は東証33業種をPBRが低い順に並べ、PER、内・外需の別および不振理由を追加した表である。
PBRが低く株価が割安となったセクター全般の不振理由を列挙すると、
<低金利>日銀の長引く低金利政策により、十分なリスク・リターンをもたらす運用対象がないこと、および国民の国内株式投資に対する消極姿勢から、銀行・証券・保険等の金融セクター株は安い。
<米中貿易>米保護貿易政策の悪影響、特に中国景気減速による日本からの対中輸出減少と中国による対米輸出分の他国への転売懸念から鉄鋼、海運、資源、輸送用機器等の外需セクター株全般が安い。
<構造要因>産業の構造変化、例えば車のEV化により従来の自動車メーカーやバルブ等輸送用機器セクター、および媒体の電子化等で紙の需要が世界的に減少しておりパルプ・紙セクター株等は安い。
<原発問題>東日本大震災後の原発停止により火力発電や代替エネルギーへの依存が高まり発電コストが上昇したうえ、老朽化した原発施設の不良資産化懸念から電気・ガスセクター株は安い。
不振理由は様々で複合的だが、世界的に貿易量減少が懸念されることに加え、トランプ大統領の発言により一晩で事業環境が激変するなど、確かに貿易依存度の高い外需セクター株は購入しづらい。そこで外需・内需セクターとTOPIXの株価推移を見てみると2015年のチャイナショック以降は低迷する外需セクターに対し内需セクターがやはり好調。低金利の悪影響を受ける金融・保険を除いた内需セクターのパフォーマンスはさらに好調で、TOPIXを凌駕している(図1参照)。
つまり予測しづらいトランプ大統領の言動と低金利が続く限り、内需(除く金融・保険)セクターに消去法的な買い安心感があり、その中でPBRが低く割安なセクターを選別すると、倉庫・運輸、卸売、繊維、建設となる。
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