日米欧アジア経済サマリー
米国
5月の雇用統計で失業率は3.6%と49年ぶり低水準を維持したものの、非農業部門雇用者数は前月比7.5万人増となり、4月の22.4万人から大きく下振れ、平均時給も前年比3.1%と若干減速。加えてインフレ率もなかなか上昇せず、FRBが利下げに転じる環境が揃いつつある。足元ではメキシコに対する関税は見送りとなったが、対中貿易問題では6月末にG20で会談が持たれない場合は即座に中国からの輸入品3000億ドル分に25%ないしはそれ以上の関税を課すとしており、当面解決は難しそうだ。
欧州
5月のユーロ圏消費者物価上昇率は前年比1.2%と約1年ぶりの低い伸びとなり、コア指数も0.8%と低水準。加えて4月小売売上高も前月比でマイナスとなるなど消費関連は低迷している。6日のECB理事会では欧州景気の先行き不透明感が増しているとして、今年夏までとしていた金利据え置き期間を2020年半ばまで延長することを決定し、必要であればあらゆる措置をとる準備があるとした。
日本
4月の景気一致指数が上振れしたほか、1-3月期GDP成長率も年率2.2%に上方修正となり、需給ギャップも+0.1%とプラスになるなど経済指標全般は底打ちの兆しを示している。福岡で開催されたG20財務相・中央銀行総裁会議では、「貿易と地政を巡る緊張が増大しており、必要に応じさらなる行動を起こす用意がある」との共同声明を発表、為替に関しては自国競争力強化を目的とした通貨切り下げをしないことを再確認した。
アジア・オセアニア
6月末のG20で日米首脳会談が実現しない場合、米政府は3,000億ドル相当の中国からの輸入品への関税を25%あるいはそれ以上へ引上げると発表した。ファーウェイに対する制裁措置も続いており、引続き中国景気は米保護貿易の影響で低迷気味。豪州では減速傾向を示す住宅市場や物価の低迷を受け、3年ぶりに政策金利が0.25%引下げられ1.25%と過去最低となった。追加利下げへの含みを残したが、その後発表された1-3月期GDP成長率は、前年比1.8%とリーマンショック以降の最低水準に沈み準銀の判断が正しかったことが確認された。
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