地域経済サマリー

米国

G20に合わせて行われた米中首脳会談で、米側は対中追加関税を当面見送りファーウェイに対する制裁措置も条件付きで解除するとした。6月雇用統計では非農業部門雇用者数が前月比22.4万人増となり、先月の7.2万人から大きく回復した。堅調なGDPなど経済指標に加え、雇用関連も回復したことで今月末のFOMCでの利下げの蓋然性は低下しつつある。ただしインフレ率は引続き2%を下回っており、6月消費者物価指数が注目される。予想外に物価が上振れないかぎり、FOMCで予防的利下げに踏み切る可能性が高いと市場は見ている。

欧州 

ユーロ圏5月の小売売上高(前月比▲0.3%)や独5月の製造業受注(前月比▲2.2%)など欧州経済指標は全般的に低迷している。混迷したEU首脳人事は、ECB総裁がハト派と目されるIMFのラガルド専務理事、欧州委員長にフォンデアライエン独国防相という独仏で分け合う形となり、大統領にはベルギーのミシェル首相が指名された。ギリシア総選挙では野党中道右派がチプラス首相率いる与党急進左派連合を破り、ポピュリズム政権から中道右派への政権交代となった。

日本

6月調査の日銀短観は、大企業製造業が前回調査から5pt悪化の7、大企業非製造業は2pt改善の23となり、米中貿易戦争の影響で外需関連が悪化する一方で内需の底堅さが見られた。中小企業も同様に製造業の悪化が目立つが、米中貿易戦争休戦を受けて、今後の持直しが期待できる。5月の景気一致指数は103.2と2ヶ月連続で改善したことから、内閣府は景気基調判断を先月までの「悪化」から「下げ止まり」へと引き上げた。

アジア・オセアニア

米中首脳会談での予想を上回る米側譲歩に対し、中国側は農作物の輸入拡大とエネルギー関連や金融業務への外資参入の規制緩和等で応じている。ただし中国は購買担当者指数などの経済指標に悪影響が出ており、全般的に低調。新興国や資源国の通貨および株は米金利低下を反映し総じて堅調で、豪ドルは金融政策において2会合連続の利下げとなったにもかかわらず底堅く推移しており、株価は過去最高値を窺う展開。

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