今後の米中問題

1.今後の米中問題の見通し

現状の双方の主張、要求は

米国側…

・知的財産侵害、技術移転の強要、サイバー攻撃問題等の解決

・大量の農産品を米から輸入するなど、対米貿易黒字の削減

・合意は米側有利の内容とすべき

中国側…

・過去発動済み関税の取り消し

・ファーウェイなどエンティティーリスト掲載会社に対する制裁解除

・交渉は対等、互恵の原則のもとで行う

6月合意では…

中国はトランプ大統領が中間選挙に向けて米株下落を招く行動にはでないと踏み、「知的財産権や技術移転の強要を停止する」との5月合意から態度を後退させていた。G20の米中会談では中国側の農産品追加購入と一部外資企業への規制解除を条件に米側が追加関税見送りとファーウェイ制裁の条件付き解除を認めたが、中国側は約束したとされる農産品をまだ購入しておらず、外資企業への規制緩和も石油天然ガス事業や港湾事業等に関するもので小出しの印象は拭えない。

結局貿易戦争は止まらない…

中国側が約束を守らない場合は、米は結局6月合意で延期した3000億ドルへの追加関税を再び持ち出す可能性が高い。また、ファーウェイに対する制裁に関しても、5Gの主権を中国に握られるリスク、長期的にはGDP世界1位の座を奪われることを防ぐために攻撃を続けると思われる。実際、ファーウェイはエンティティーリストに引き続き掲載されているうえ、米国製品輸出には商務省の許可が必要で、大まかな輸出判断は原則却下のまま。安保脅威がない製品輸出のみを例外的に認めるという状態。足元の米株価は最高値を更新するなど、対中国で強気に攻めることができる余裕が米側にはある。

一方の中国は、6月合意は米側が譲歩したというよりは、5月時点に戻っただけで中国が求めるのは昨年来に課された対中関税の全面撤廃。足元の景気は後退気味で、経済が悪化するような要求は飲めないうえ、10/1の建国70周年式典に向けて共産党のメンツを保つためにも一歩も譲らないと予想される。

つまり当面中国側は米側の要求を飲むことはなく、米側は米株が堅調なかぎり対中攻撃を続けるため、貿易戦争は膠着ないしは悪化する可能性が高い。

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