堅調な日本株
足元日本の景気動向は指標で見ると生産関連、物価関連などが低迷しており堅調な株価動向との乖離が目立つ。先週当欄で取り上げた欧州および中国でも似たような現象がみられており、実体経済と比べた日本株の堅調さの原因を探してみる。
図1は①日銀短観大企業製造業と②景気ウォッチャー調査先行き判断、および日経平均のリーマン後推移。これを見ると過去12年間の日経平均はほぼ①、②に歩調を合わせて動いているが、2018年以降①、②が低下基調を辿る一方、日経平均は横ばいで推移。足元では却って上昇基調に転じており、要因として需給とファンダメンタルズが考えられる。
<需給>
・日銀による年間6兆円のETF買いは、下落局面で日本株を買い支えるという安心感に繋がるうえ、毎年時価総額の1%に相当する株式が市場から吸い上げられるため需給バランスを持続的に好転させる。
・海外ファンドは昨年来日本株をアンダーウェイトしており、足元の日本株上昇で慌てて買戻す動きが見られる。また世界的にアクティブファンドからインデックスファンドへ乗換える動きが続いており、組入れウェイトに応じた日本株購入に繋がる。
・消費税増税に関し海外のエコノミストを中心に酷評する論調が見られたが、増税インパクトは想定より小さいとの認識が徐々に広がるにつれ日本株買戻しに繋がる。
・中国、欧州の株価は対米貿易摩擦の影響等で経済指標が日本以上に低迷しているにも拘わらず堅調なことが、対米関係が良好でPBRなど株価指標が割安な日本株に対する購入インセンティブを高める。
<ファンダメンタルズ>
・昨年来欧米で利下げ観測が広がる中、利下げ余地の少ない日本には円高懸念が広がった。しかし実際には日銀が静観しても円高が進まなかったことは日本株の買い安心感に繋がる。
・来年の米大統領選に向けトランプ政権による米景気浮揚政策が期待できるうえ、長年欧州で経常黒字を溜め込んできたドイツに財政支出拡大の可能性が出てきたこと、およびドラギECB総裁に続き黒田日銀総裁も金融緩和と財政政策のポリシーミックスが景気刺激に有効と発言したことは、日本経済にとって支援材料。
以上のように需給、ファンダメンタルズからみて現状の流れが継続するようであれば、当面の日本株は堅調な展開が予想される。
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