地域経済サマリー
米国
1月のISM景況指数は製造業、非製造業ともに大幅に持ち直し約半年ぶりの高水準となった。また、1月雇用統計は非農業部門雇用者数および平均時給が上振れ、失業率も半世紀ぶり低水準付近を維持するなど、労働市場の力強さを改めて示す内容だった。トランプ大統領の弾劾裁判では上院が無罪評決を下し、大統領選に関しては民主党候補選出の初戦となるアイオワ州民主党党員集会は混戦で有力候補が台頭せずトランプ大統領有利との観測が広がるなど、米経済の不透明要因は低下している。
欧州
ユーロ圏12月の小売売上高は約2年ぶりの低水準となり、クリスマスシーズンにも拘らず消費が低迷していることが浮き彫りとなった。生産面でも欧州一の経済大国である独の12月製造業新規受注および鉱工業生産が大きく落ち込み、生産活動の活発化による景気回復局面はまだ遠そうだ。一方で独の経常黒字は増加しており、ユーロ圏の財務相らは欧州経済に下振れリスクが見受けられる場合には、拡張的な財政政策を勧告するとしている。
日本
12月の景気指数は一致指数は94.7と前月比横ばいで、内閣府が求める景気の基調判断を5ヵ月連続で「悪化」に据え置いた。数ヶ月後の景気を占う先行指数は前月比0.8ポイント上昇の91.6と8ヶ月ぶりに上昇したが、1月景気ウォッチャー調査の先行きDIは下振れており、今後新型ウィルスによる観光業、およびサプライチェーンをはじめとする経済全般への悪影響が懸念されている。
アジア・オセアニア
中国では、香港の民主化デモに続く新型ウィルス問題が経済に深刻な影響を及ぼすことが懸念され、対米で強硬姿勢を貫く余裕はあまりない。中国政府は複数都市を丸ごと隔離するなど軍事作戦になぞらえる大規模な対策を行っており、人の移動とサプライチェーンの分断化が表面化しつつある。アジア周辺国にもその影響は広がっており、観光業や製造業を中心に産業が停滞するリスクが燻る。
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