為替サマリー

円・米ドル

経験的には世界的な株価急落に歩調を合わせ大幅な円高進行が予想されたにもかかわらず、円・米ドルはレンジ内に留まる。マイナス金利政策を採用する国も珍しくなくなり、マイナス金利を活用したキャリートレードの巻き戻しが円に集中することはない。一方で、決済通貨としての米ドル調達ニーズは上昇しており、米ドルインデックスも上昇中でベーシススワップを用いたドル調達コストも急上昇した。結果として需給は拮抗し円・米ドルのレンジ相場が続こう。

円・ユーロ

回復基調を示す経済とマイナス金利の深堀りを避けたECBによる金融緩和政策の結果を受け通貨ユーロは月初上昇基調だったが、伊などでの新型肺炎感染者数急増と相次ぐEU域外からの入国制限による経済活動減速を反映して足元でユーロは下落。結局昨年来の120円を挟んだレンジ内の動きとなっている。ただし独では財政支出拡大が検討されており、内容次第では通貨ユーロは再び上昇基調となる可能性がある。

円・豪ドル

コロナショックによる世界経済減速と原油価格下落を反映し資源国全般の通貨は下落基調で豪ドルも急落した。ただし金利面に関しては、豪準銀が月初に25ベーシスの利下げを行い、当面は政策効果を見極める局面が続くと思われることから、金利低下を警戒した豪ドル売り圧力は一旦減退。新型肺炎に関しても豪州の感染者数は300人で、このままウィルス封じ込めに成功すれば豪ドルが下げ止まる可能性もある。

円・ブラジルレアル

世界的に拡がるコロナショックは経済基盤がぜい弱な新興国市場を直撃、ブラジル通貨レアルも急落した。中銀は通貨スワップ取引による介入でレアル下支えを図ったが、結局対ドル・対円でレアルは過去最低を更新した。新型肺炎による世界的な消費減退とサプライチェーン問題を危惧し商品市況全体が下落しているうえ、サウジアラビアとロシアの協調減産交渉の決裂による原油価格急落を受け、資源国通貨としてレアルは当面下値模索が続くと予想される。

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