日米欧中経済

・米国

3月貿易赤字は500億ドルに拡大したが、対中赤字は前月比で16.2%減少した。一方、米中協議は結局合意に至らず、米政府は中国からの輸入品2,000億ドル相当に対する関税率を10日に10%から25%へ引き上げたうえ、トランプ大統領はさらに残りの3,000億ドル相当にも追加関税の用意があるとしている。市場は昨年来の対中関税にも拘わらず米経済が比較的堅調だったことから、冷静に反応している。

・欧州

 英1-3月期GDPはBrexit前の駆け込み需要もあり前期比上振れ、ユーロ圏3月小売売上高や、独3月の鉱工業生産なども予想対比上振れるなど、足元欧州経済は底打ちの兆しが見られる。加えて仏では長引く「黄色いベスト運動」の沈静化を図りマクロン大統領が50億ユーロの減税を表明しており、Brexitや伊のポピュリズム政権などの政治的不透明感は燻るものの、実体経済の回復期待が広がる。

・日本

生産関連を中心に日本経済は失速気味で、特に輸出関連が落込んでおり中国景気減速の影響を大きく受けているようだ。ただし、足元では4月購買担当者指数や消費者態度指数などに一部底入れの兆しもみられる。4/24~25の日銀政策会合では、現状の緩和策を少なくとも2020年春ごろまで続けるとしたうえで、ETF買入れに関し、市場で指摘されていた流動性懸念に配慮した貸付制度の導入を発表するなど、異次元緩和長期化に備えた施策だった。

・中国

4月のサービス業購買担当者指数は54.5と予想対比上振れ、さらに消費者物価(前年比2.5%)、生産者物価指数(同0.9%)ともに前月比上振れるなど中国経済は回復基調だが、米中貿易摩擦の激化で今後の企業収益には警戒感が広がる。9日の米中協議では中国側が「法改正が必要な要求は飲めない」として合意文章を変更したことがトランプ大統領の怒りに触れた形となった模様だが、今後貿易協議の場が北京に移される予定で決裂は回避された。

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